がん認知行動療法研究会第2回セミナー

 

*トトロと空海から学ぶ終末期医療*
「私もう死ぬんですか?」と患者さんに聞かれたら、あなたは何と答えますか?

 日常の診療の中で、死に臨んでいる患者さんに対応した時に、あなたは何を考え、どのように行動しているでしょうか?死を身近に感じている人たちに対して、あなたは医療者として何ができるでしょうか?死とはあなたにとってどのようなものでしょう?患者さんの死、親しい人の死、そして自分自身の死、、、

現在の医療界では、死は敗北であり、忌み嫌うものです。それでいて人間の死亡率は100%なのです。医療者であればなおさら、健全な死生観を持っていることが必要不可欠です。死を避けているような医療者に、心ある終末期医療がどうしてできるでしょう。

さらに、死について考える時、スピリチュアリティを無視するわけにはいきません。われわれ医療者は、科学者として、時としてスピリチュアリティに目をそむけるように教育されてきました。しかし人間がある意味で霊的存在であることを考えないで、死生観を語ることは、非常に無味乾燥なものではないでしょうか。

今回第2回となるがん認知行動療法研究会では、「医療者の持つべき健全な死生観」をテーマに、聖路加国際病院精神腫瘍科の保坂隆医師による講義とワークを行い、サイモントン療法の手法を用いて、死に対する認知変換を学びます。

保坂の講義では、ジブリ映画「となりのトトロ」のストーリーに隠された符号を見つけ、そのメッセージを解き明かす冒険の旅にいざないます。そして自らの壮大な死をプロデュースした弘法大師空海が指し示す、現代医療の矛盾とは?

サイモントン療法からは、創始者カール・サイモントンが提唱した死生観を基本として、現在我々が抱いている死に対する認知を検証し、それを健全化することを学びます。そして、「死のメディテーション」によって、現在から死まで、死ぬ瞬間、死後の3段階を体験してみます。この手法はサイモントン療法では以前から行なわれおり、体験した患者さんのQOLの改善に貢献しています。

保坂隆からのメッセージ

◆となりのトトロに学ぶ死生観:
 あのジブリ作品を、精神医学的に紐解いてみました。恐らく、誰もやってこなかった解釈にたどり着いたのです。解析しようとしたきっかけは,最後のあるシーンがとても気になっていたからです。子供だけでなく、大人をも魅了し愛されてきたその名作には,実は深いメッセージが隠されていたのです。そしてこの名作によって、「あの世」の存在までも知ることができ、終末期医療にも役立つような分析になりました。聞いてください。

◆空海に学ぶ死生観:
 言わずと知れた「最澄と空海」の空海です。空海は高野山を舞台にした密教真言宗の開祖で、その後、弘法大師と呼ばれるようになりました。その空海も、大学は1年で中退して山の中に籠もり,24歳で名著「三教指帰」を発表したのですが、再び消息を絶ち、31際の時に遣唐使船に乗り込むところから歴史の表舞台に登場しました。晩年は悪性の皮膚感染症に罹り死を意識したのですが、平安京と高野山を往復しながら真言宗の発展の基礎固めに奔走し、2年間は五穀を断ちながら,自らの死を演出していきます。「壮大な死をプロデュース」した空海から、現代医療の矛盾や終末期医療を学んでいきましょう。

◆スピリチュアル・ケア:
 「私はもう死ぬんでしょうか?」という患者の言葉の前で、医療者たちは言葉を失ってしまいます。家族も医療者も,そんな質問を避けるためと、何と声をかけていいのかわからないという理由から、終末期の患者の病室から遠ざかろうとしています。亡くなっていく患者にとって、自分がどこに行くのかという恐怖感や、残していく配偶者や子供たちがどうなっていくのかという心配など、身体的な痛み以外にたくさんの痛みが残されています。多くの事例を提示しながら、終末期にはどのような関わりが可能なのかを、皆さんと一緒に考えていこうと思います。

サイモントン療法のポイント

 医療者が死に対する健全な信念を抱くことにより、自身と患者の抱く、死に対する恐怖と絶望感を取り除くことは、質のともなったターミナルケアをするにあたって、とても重要な課題となります。死について探究する目的は、死の恐怖を減らし、今日を生きる為のエネルギーを増大させることにあります。

今回、サイモントン療法では下記トピックを中心に、死生観へのアプローチを行います:

◆死生学
死についての哲学的、宗教的、霊的(スピリチャリティー)観念についても扱い、生きる希望を持ち、今日この日の質を上げつつも、生に執着せず、死を受容しうる考え方を模索します。

◆死に対する認知修正
死に直面したときに抱きがちな信念の代表的なものの例;

「死は全ての終わりであり、敗北の表れである」
「死の宣告を受けた私は敗北者であり絶望的だ」
「死とは闇に葬られ無価値になることだ」
「死んだら残された者たちはみじめになる」

などといったものに対し、どのように効果的な認知修正を行うかを提示しつつ、みなさんと一緒に取り組んでいきます。

◆豊かな死の心構え
死に対してリラックスし、豊かな死を迎えるための心構えについて言及します。

◆死のメディテーション
「死のメディテーション」を行い、死の疑似体験をもつことで、死に対する恐怖を緩和し、豊かな死のイメージを育みます。
※講師:川畑伸子(サイモントン療法協会認定トレーナー)

 

さまざまな視点から、包括的に死生観の探求を行い、参加者同士のグループシェアを行うことで、自分ひとりでは得られなかった、多くの気づきが得られる研修となります。

よりよき終末期医療現場をめざし、一緒に取り組んでいきましょう!

修了証を発行いたします

当セミナーにご参加いただいた方には修了証を発行いたします。
ただし、当修了証は医療者に限定し発行いたしますのでご了承ください。
医療機関に勤務されているセラピストの方は勤務形態などを確認の上、発行が可能ですのでご相談ください。
尚、修了証は1日の全てのプログラムを受講された方のみへの発行となります。

セミナー概要

題  名: がん認知行動療法研究会(CCBT)  第2回セミナー「トトロと空海から学ぶ終末期医療」
日  時: 2013年3月3日(日)10:00~16:45
      ※進行状況によりスケジュールや内容が変更することがあります。
講  師: 保坂 隆(聖路加国際病院精神腫瘍科医長)
川畑伸子(サイモントン療法協会)、他認定スタッフ
場  所: 大崎ゲートシティホール 東京都品川区大崎 1-11-1
参加資格: 原則的としてがん医療に関わる医療従事者
(医師・看護師・薬剤師・介護福祉士・医療ソーシャルワーカー・理学療法士等ですが、これ以外の方もご相談に応じます)
医療者以外の方は聴講生として参加できますが、以下の原則に従うことをご了承下さい。
 ①質問やコメントはできません
 ②専門用語の説明等はいたしません
 ③グループワークに関しては聴講生のみのグループとして参加可とします
 ④修了証は発行しません
 ⑤参加費は一般参加者と同じです ※参加資格等の詳細は事務局にお問い合わせ下さい

定  員: 60名
参加費用: 1名様   30,000円
       2名様以上 24,000円 1名

主  催: がん認知行動療法研究会(CCBT)(株式会社経営科学出版内)
担当: 福田
〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-18-4 AHM'S ONE 9F
TEL:0120-217-154 (電話受付時間 平日10:00-17:00)
FAX:0120-427-155
E-MAIL: info@cancercbt.com
WEB: http://cancercbt.com/

セミナーの内容に関するお問合せ先はこちら ↓
TEL:03-6859-1705(サイモントン・ジャパン事務局)
WEB:http://www.simontonjapan.com/


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